「それじゃあ、帰ろうか」
「うん」

 私も立ち上がって、あきの腕を取った。

「おっと……」
「早く帰ろう」

 あきのおかげで、落ち込んでいた心が高揚したから。

「ちょっと待てって」

 私がぶら下がっていない方の手でギターを掴んで、あきは苦笑した。

「真子は俺が大好きなんだな?」
「何言ってるの?」

 私は笑って、

「あきも私のこと大好きでしょう?」

 そう言い放った。


 他人から見れば、反吐が出るくらいの惚気だったと思う。
 私達は馬鹿みたいにお互いを好きあって、一緒にいた。

 辛いことも、二人だから乗り越えられた。
 私達は、ただただ幸せだったんだ。



「……真子さん?」
「っ」

 声をかけられて、はっとする。気づけば、辺りは真っ暗になっていた。

「ヒロ?」
「やっぱり、真子さんだ」

 ちょっと驚いたように私を見たヒロ。私もまさか、またヒロに会うとは思わなくて驚いた。