「………生贄」


確かめるように呟くと、胸の中がどっしりと重くなった気がした。

確かに、今まで考えなかったけど『そういう事』なのかも。


静かに霊樹を見上げる。


「この中にも……誰かが……」

改めて考えて、この神秘的な樹が少しだけ怖くなった。

が、しかし。


『琥珀、変な顔ーっ!!!!』


樹兄さんが霊樹の枝の上に立ち、そうからかってきたから……

「樹兄さん……っ!?」

珍しくしんみりしてたってのに、……台なしじゃないか!!

私はムッと頬をふくらませる。