「 いつだって悠也さんはそうやって
あたしより前に立って、あたしが
一歩進むと悠也さんはあたしから
離れるように一歩進んでる 」
「 ････そうかな？ 」
”ずるいですよ”とむっとした
彼女にそう言えば、即答で
”そうですよ”と返ってきた。
もう何度目か分からない泣き顔を
見るんだろうと思っていた俺は
驚きや動揺を隠せなかった。
「 先のことを考えて結論を出しちゃって
そんなこと言われたら････ 」
きっと、彼女は慧くんを想って
俺の前で泣くんだろう、と思っていた。
「 ････あたし、悠也さんに堕ちるしか
ないじゃないですか･････ッ 」
だからだろうか。
真っ直ぐ俺を見て、涙を流す彼女に
触れたくて、もう、めちゃくちゃにしたくて。
