「 君に会うまで、俺は人を
ちゃんと愛せてなかったような
情けない男だよ 」
いきなりどうしたんだ、という顔で
俺を見ている彼女の手を
強く握り返して、ぐっ、と
そのまま口元まで引っ張った。
「 君が慧くんを選ぶなら、それでも
構わないと思ってた。
好きな人を選べばいいと思って、
だから、もう会うつもりもなかった 」
もう何度も触れた白い肌に、
この手に、頬に、唇に。
「 ・・・・・だけど、今はね?
君が”俺に”堕ちるまで
いつまでだって待てるよ、きっと 」
会わない、なんて無理だった。
この子は自然と俺を惹きつけて
いつの間にか君から離れられないように
なっていた。