俺が立ち止まれば、
彼女も立ち止まって、
手を離そうと力を抜いた。
「 その言葉、待ってました 」
冷たい風に吹かれながらも
お互いの手は温かい。
離れかけた手を彼女の手が
きゅっ、と掴んで、
彼女は笑っていた。
「 正直、悠也さんはすごい大人で
優しいし、かっこいいし、
完璧なんだって思ってました 」
「 それは・・・ 」
ただの、見せ掛けでしかない。
好きな女の子に優しくしたいと
思うのは当たり前のことだろう。
そう言おうにもあまりの
情けなさに俺は苦笑していた。
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