心地よい風が放課後の教室に吹き抜ける





誰もいない教室に部活中の人達の声が響いている


「あれ?もう誰もいない。私寝ちゃってたんだ...」


急いで帰り支度をし

カバンを教室に残し

早歩きで

いつもの場所に向かった

近づくにつれて草の匂いがしてくる


「付いた。今日も誰もいない」


それもそのはず

ここの中庭は、教室からも体育館からも見えないところにあるからだ。


いつものようにベンチに座り
本を読もうとした瞬間
誰かがくる足音がした



「あれ?秋元じゃん
なにしてんのこんなところで」


ユニフォーム姿でバスケットボールを持っている男の子が現れた。
彼は私と同じクラスの笹倉君だ。


「本を読もうと思って」

毎日ここにくるが
私以外の人がくるのは
初めてみる



「お前いつも本読んでるよな」


「本、面白いから。笹倉君は何しにきたの?」