中学校生活1日目に何をしてるんだ私は。

「花園・・・。」

羅衆院の声が遠く感じる。
今、私の一番近くにいるのは羅衆院なのにね。

「ごめんな・・・。」

羅衆院の声がかすれているように聞こえて、私は急いで羅衆院のほうを見た。

「俺は自分を守るためにお前を利用した。でもな、お前と仲良くなりたい、そう思ったのは本当だ。許してくれ。」

羅衆院の眼が赤くなってた。
涙を隠してるのがばればれだ。

「羅衆院。」

「花園。お前は優しい奴だな。口は悪いけどな。ハハッ。」

そんな風に言った羅衆院の顔にはもう笑顔が戻っていた。

「羅衆院に言われたくねー」

そんな風に言った私の顔にも笑顔があっただろう。

「入学式だぞ。早く荷物置いていこうぜっ!!」

「え、あ、うん。」

そう言って、まだその場を離れようとしない羅衆院のファンの子たちの塊の中を彼は私の手を引いて、通り抜けた。

羅衆院の手は暖かかったよ。