「愛里ッ!」


母親が目に涙を溜めてあたしを見つめる。



嫌だ



入院だけは…



「…絶対やだ」



あたしは頑固。


「…入院はまだいいです」



目の前にいる医者が言った。



「ちゃんと薬を飲んで、ゆっくりしていたら大丈夫です」



「そうですか…」


母親はハンカチで目を拭きながら言った。



どこかでホッとするあたし。



不安な気持ちが少し安らいだ。



「ただし、異変を感じたらすぐに来ること。良いですね?」



さっきまで母親の方を向いていた医者は、あたしの方を向いた。




「…はい」



とりあえず返事をした。



無視していたら、愛想悪いから。