校庭の大きなポプラの木の下、王禅寺と ゆかりが座っている。


「ねぇ、王ちゃん、なんで私なの?
 もっと可愛い子いるし、勉強もスポーツもふつうでしょ。」


「やぁ、おまえは掃除当番とかまじめにやるだろ。
 たまに鋭いつっこみで、なるほどと思わせる。
 そういうとこがいいんだよ。」


「そっか、よく見てるんだ。
 意外とこまかいんだね、ププッ。」


「うるさい奴ってわけじゃないぜ。」


「よくわかんないけど、ありがと。」


「俺、たまに、わあぁー、ってなって、勢いそらしてる。
 だから、いつか ハグして。」


「う、うん。」


「好きな映画や音楽や本の話をしようぜ。
 好きなおやつの話もな。」


「そうだね。
 そうしたら、わかるのかもしれないね。」


「なにが?」


「私たち、好きな物が似てるんじゃなくて、
 好きな理由が似てるってこと。」


「う~ん、そうかもしれないな。
 ハラへった。帰ろうか。」


「うん、今日のおやつはなにかな。」

           

           完