「今後、ちゃんと言うから」

一応、私の方が年上で社員なんだけどな。
奥村くんには気付かれないように溜め息を溢した。

「危機感の無い曽良さんに教えてあげましょうか?」

「だから…」

まだ嫌味を言ってくるのか?と眉間に皺を寄せて顔を上げる。奥村くんの顔が真ん前にあってちょっとでも動いたら唇が触れてしまいそうで―…。

「ちかっ!ちょ…近い!」

後ろに後ろに逃げても奥村くんも近付いてくる。
レジ側にいた自分は逃げ場が全く無い。

この状況どうしたらいい?
どう切り抜ければいい?

何を考えてんだ?冗談か?

自分でも驚くぐらいにグルグルと頭の中が回転している。