ココナッツの匂いが嫌いだという、また新しい暁を知ることができた。



ついに車は走り出し、まず最初に向かったのは……30分ほど離れたところにある個人経営の洋食レストラン。



オシャレな雰囲気のお店で、空いた席へと案内された。



「こんなところ、なんで知ってるの?」

「昔から家族でよく来てた」

「そうなんだ。じゃあ、今もよく来るの?」

「いや。もう、4、5年来てねぇな。だから、久々に食いたくて連れてきた」



暁の家族との思い出の場所。



そんな大切な場所にクリスマスという特別な日に来ることができて本当に嬉しい。



それに、滅多に暁自身のしたいことを言うことがないから、こうして暁がしたいと思ったことができて私も気分が上がった。