「もう大丈夫なの……?」
この前のとき同様、暁が男の子に喧嘩をふっかけないように少し大きめの声を出し間に入った。
「あぁ」とだけつぶやく暁。
これはもしや、またヤキモチを妬かせちゃった……?
誕生日デートの帰りのときに、もう他の男の人にニコニコするなって言われたのに……。
私ってば、もうさっそくその約束破ってるじゃん……。
「じゃあ、私たちもう行くねっ」
「あ、そうだよね!じゃあ、また会ったときはよろしくね」
私はベンチから立ち上がり、暁の腕を掴んだ。
最後の最後までニコニコしていた男の子。
結局、名前も聞くことはなかった。
……この先も、聞くことはなさそう。