「一緒に回ったりしないの?」
「さっきまで一緒に回ってたよ。なんか用事ができちゃったみたいで、それでここで戻ってくるの待ってるの」
「そういうことだったんだね!」
「……友達とは、もう会ったの?」
「そう!だからそろそろ帰ろうかなーって思ってたら、パスケースの子がいたから、つい声かけちゃった!」
男の子のお手本のような笑顔が眩しくて、私もつられて笑顔になった。
「心優」
突然、大好きな声に名前を呼ばれた。
目の前には暁が立っていて、私を見た後にゆっくりと男の子に視線を移す。
「……彼氏さん!おかえりなさい!」
不機嫌そうに男の子を見下ろす暁に対し、男の子はニコニコしながら暁を見た。