『地球防衛軍・リリアンヌ・エバァンヌ見参!』
彼女は確かに2次元だった。
『さぁ、かかって来なさい!』
彼女は確かに軍服ロリータだった。
『必殺…』
彼女は確かに必殺技を持っていた。
『花しぐれぇぇぇっ!』
彼女は確かに綺麗で優雅だった。
『女だからって舐めるんじゃないわよ!』
彼女は確かに気が強かった。
『大好きよ?バーカ!』
彼女は確かにツンデレだった。
「お兄ちゃん、また見てんの?」
「なんだぁ?アニメ見んのが悪ィか?」
「イタイ」
「………」
何も言え返せなかった。
今年で俺こと坂井春樹は高校生になった。
いい年してアニメとはと自分でも分かってる。
分かってるけど止められない。
だって面白いんだから。
つまらないB級ドラマよりアニメの方が話構成がちゃんとしてるし、なにより…
女の子が可愛い!
イタイって?結構結構。
知ってるし。
だってしょうがないだろ?
アニメ好きなんだから。
それにリリアンヌことリリアのことが。
リリアンヌとは俺の好きなアニメ
地球防衛美少女リリアンヌという漢字がやたらと多いアニメの主人公だ。
誕生日7/7
身長154cm
体重43kg
武器、刀
とまぁこんな感じだ。
ファンブックに書いてあった。
そんな残念な俺に運命の出会いとやらが訪れた。
それはいつも通り地球防衛美少女リリアンヌを見るためテレビをつけた。
だがいきなりテレビが光りだした。
最初は故障かなんかかと思っていたが違ったらしい。
なぜなら
「なによ!?これっ?」
リリアンヌ本人が目の前にいるのだから。
「なによっ!?これっ?」
「……」
絶句…。
絶句としか言えない。
この場の説明をするなら絶句だけで説明出来る。
俺は出来ないけど。
予想以上にテレビ壊れてる!
「っと…ちょっと!?そこのクソガキ!説明しなさい!」
「…!」
リリアンヌ…。
リリア可愛い…。
テレビの故障でリリアが3D見えるなんて万々歳だけど。
「クソガキはねぇだろっ!俺、今年で高校生だぞ!?」
「そう言う所がガキだっつってんの!」
リリアが頭突きをしてきた。
「……」
あれ?3Dじゃない…。
触れてる。
「リリアって…」
「私は幽霊でも3D映像でもない。私はちゃんとここに立っている。クソバカ」
リリアめんどくせぇよ。
説明が。
「簡単に言うわよ?」
「……」
「私はアニメーターさんに動かされてない。今、動いてるのは自分の意思」
だから、アニメより性格…。
俺が考えてたリリアはもっと…何ていうか…。
「そうだ!おしとやかさが足りなっ…ぶはっ」
リリアが鋭い回し蹴りを俺に喰らわせた。
一瞬お花畑が見えた。
天使も見えた。
いやいや、負けるな俺!
「そーゆーところがおしとやかさに欠けるっ…」
「黙れ雑魚」
一言でノックアウト。
「……」
それにしてもリリアが…。
現実は甘くないって初めて実感したかもしれねぇ。
「聞きたいんだけど!」
「?」
何をいきなり?
わがままの様な仕草のリリアの姿は実に絵になる。
なんつったって元アニメの主人公なのだから。
「オイ!元ってなんだ?」
「エ…エスパー?」
「私は、バリバリ現在進行形で主人公だ!バカ!アホ!」
最後のバカとアホは実に子供らしっ…!
「私は子供じゃない!」
ガキじゃっ…!
「ごふっ」
顔面グーで殴る。
「エスパー?なのか?」
「なんとなくで分かるって事、あるでしょ?」
「もし間違って殴ったりしないのかよ…?」
「私は正しい事をしているだけだ」
「……」
可愛さ2分の1カット。
ガキ増量中。
「ってか…聞きたいことあったんじゃねーのかよ?」
「あ。そうだったわね。聞くわよ?」
何故か緊張感という雰囲気が出来る。
あくまでも雰囲気だ。
「ふぅ…すー」
リリアがゆっくり深呼吸をする。
よほどの事なのだろう。
そして次の言葉を発した。