「リョウ早く起きなさい」

毎日この言葉から僕の時間が動き出す。
どんなに嫌でも動き出してしまう。

僕は、いじめを受けている。

明るい性格ではないが、友達作りは下手じゃないはずだった。

高校1年の2学期から、いじめが始まり、夏休みの楽しい思い出なんて、一気に吹っ飛んで何もかも嫌になった。

自殺したらどうなるんだろう?

心から泣いてくれる人はいるのかな?

親は?

中学の時の友達は?

「ダメだ。
このくらいしか思い浮かばない。」

その日、風呂に親父が入って来た。

5年以上は、一緒に入っていないので恥ずかしい気持ちになったがそんなには、嫌じゃなかった。

「大丈夫か?」

「はっ?何言ってるの?」

親父の言葉に動揺した。

たったの一言だけど嬉しくて涙が出た。

僕は、気付かれない様に、すぐに頭を洗っているといつも長風呂の親父は、

「強くなったんだな」

そう言って、ポンッと肩を叩いて出て行った。

それだけで強くなれた気がした。

ガス欠の僕に、燃料を入れてくれたのは、親父。

こんな事で、いじめは無くならないけど、辛くても耐えられた。

だけど日を追う事に酷くなっている、いじめに、僕は限界ギリギリだった。

暴力は、まだ我慢できる。

僕が、教室に入ると空気が変わるのが分かる、ドア越しから見た教室は、とても楽しそうなのに、中に入ると全然違う。

休み時間が嫌いだ。

弁当は、トイレで隠れて食べた。

怠い

苦しい

胃が痛い。

「一ヶ月、あと一ヶ月で、夏休みだ」

そう自分に言い聞かせて、時間が過ぎていくのを待った。