「二回も同じ手に引っかかるかよ」
淡々とその細い体であたしの手から逃げる川谷。
皆の視線など全く気にせずに。
楽しそうにあたしから逃げる。
やがて川谷を教室から出た。
勿論、あたしも後を追いかける。
「待てぇぇぇ!!!!」
はぁ・・・
はぁ・・・
どこ・・・向かってんのよ・・・
川谷はどこの教室にも入らずにどんどん階段を駆け上がる。
あたしは川谷との距離を縮めようと必死に走る。
やっと標的が止まった。
そう――――・・・。
あたしたちが最悪な出会いを果たした場所で。
階段を一気に上がったあたし。
息が途切れ途切れになりながらも川谷にいった。
「・・・あたしのまえでいじめられないで」