パパの車で、10分ほどで病院に到着したわたしたちは、全速力でママのいる集中治療室に駆け付けた。
治療室から出てきた年配のドクターが、パパを見て、早口でママの状態を伝える。
わたしは焦りと不安で言葉の意味をうまく理解できず、パパの表情を追うので精いっぱいだった。
「美月、ママは危ないところだったが、一命は取り留めた。だが、まだ危険な状態は変わらない。パパはこのまま、ママの治療に入る。美月は少しここで待っててくれるか?」
「……うん」
治療室に入っていったパパを見つめながら、ふっと力が抜けたように廊下の椅子に体を落とした。
「……ママ…!」
顔を覆って泣きだしたわたしの頭にそっと誰かが触れた気配を感じた。
顔を上げたわたしを覗きこむ切れ長な黒の瞳。
「…セ、セイジュ!!」
隣に座って、少し、切なげな表情でわたしを見つめるセイジュを見たわたしは、どうしようもなく涙が溢れてきた。
「みづ…」
突然、セイジュの胸に飛び込んだわたしに。
セイジュは戸惑ったように瞳を見開いてわたしを見下ろした。
でも、少しして。
「美月」
セイジュは一言そう言うと、キュっと口を結んで、わたしを抱きしめた。
セイジュの胸は、広くて温かくて、森の中にいるみたいだった。
とても大きな、自然に包まれるような………。
「美月、加奈の体に限界が迫っているわ」
……この声……は!?
治療室から出てきた年配のドクターが、パパを見て、早口でママの状態を伝える。
わたしは焦りと不安で言葉の意味をうまく理解できず、パパの表情を追うので精いっぱいだった。
「美月、ママは危ないところだったが、一命は取り留めた。だが、まだ危険な状態は変わらない。パパはこのまま、ママの治療に入る。美月は少しここで待っててくれるか?」
「……うん」
治療室に入っていったパパを見つめながら、ふっと力が抜けたように廊下の椅子に体を落とした。
「……ママ…!」
顔を覆って泣きだしたわたしの頭にそっと誰かが触れた気配を感じた。
顔を上げたわたしを覗きこむ切れ長な黒の瞳。
「…セ、セイジュ!!」
隣に座って、少し、切なげな表情でわたしを見つめるセイジュを見たわたしは、どうしようもなく涙が溢れてきた。
「みづ…」
突然、セイジュの胸に飛び込んだわたしに。
セイジュは戸惑ったように瞳を見開いてわたしを見下ろした。
でも、少しして。
「美月」
セイジュは一言そう言うと、キュっと口を結んで、わたしを抱きしめた。
セイジュの胸は、広くて温かくて、森の中にいるみたいだった。
とても大きな、自然に包まれるような………。
「美月、加奈の体に限界が迫っているわ」
……この声……は!?