言いながら涙が流れてくるのを止めることができなかった。
セイジュは表情を変えずに静かに私を見つめた。
「君なら実体のままミラージュムーンに行くことができるかもしれない」
「実体のまま?」
セイジュはそう言うと、私にゆっくりと近づいて私の半歩手前で足を止めた。
そして風がひと吹き私の体の脇を通り過ぎる瞬間だけ瞳を閉じてまた開くと、右手を私の頬にかぶせた。
フォン!!
風が渦を巻いたような音が耳を駆け抜けたその瞬間、セイジュの右手の感覚が突然消えた。
消えた、というよりは、重さを失ったその右手は、確かにそこにあったという感覚だけを残していた。
「なに…!?」
驚いてその右手に触れると、微かに触れる感覚はあるものの、明らかに実体は消滅していた。
目で確認すると、少し肌の色を失ったその右手は屋上の地面の色を半分映し出していた。
「セイジュ!これ…手が、透けてる!?」
セイジュは表情を変えずに静かに私を見つめた。
「君なら実体のままミラージュムーンに行くことができるかもしれない」
「実体のまま?」
セイジュはそう言うと、私にゆっくりと近づいて私の半歩手前で足を止めた。
そして風がひと吹き私の体の脇を通り過ぎる瞬間だけ瞳を閉じてまた開くと、右手を私の頬にかぶせた。
フォン!!
風が渦を巻いたような音が耳を駆け抜けたその瞬間、セイジュの右手の感覚が突然消えた。
消えた、というよりは、重さを失ったその右手は、確かにそこにあったという感覚だけを残していた。
「なに…!?」
驚いてその右手に触れると、微かに触れる感覚はあるものの、明らかに実体は消滅していた。
目で確認すると、少し肌の色を失ったその右手は屋上の地面の色を半分映し出していた。
「セイジュ!これ…手が、透けてる!?」