その時、激しい轟音が地鳴りのように鳴り響き始めた。

「……な……に……!?」

神殿全体が揺れるほどの衝撃に、恐ろしくなってセイジュの腕をぎゅっと握る。

彼はそんなわたしの肩を引き寄せ、紫貴に向かって叫んだ。

「…神紫貴!カナンを任せていいか!?オレは…美月を連れて行く!!」

……ママを置いて!?

セイジュの言葉に息を呑み、彼に向かって言った。

「…セイジュ、どうして!?ママを置いて行くなんて…やっと、やっと逢えたのに!!」

叫んだわたしの声に重ねるように、紫貴が砂煙の舞い始めた神殿の奥から応える。

「月の番人が君たちの“魂の触れ合い”に気づいた。ここはファントムの聖地。君の恋を封じて太古の力を甦らせようとするファントムと月の番人の縄張りだ。行くんだ、美月。君は、セイジュから離れるな。母は必ずオレが護る」

紫貴の肩の上で、いずみさんが穏やかな笑みで微笑む。

「…美月、行きなさい。迷わないで。あなたは、“永遠の相手”に巡り逢えたのだから」

揺れて柱の端々が崩れ始めた神殿の中で、紫貴といずみさんは笑顔だった。

「美月、君の魂の半分を見つけるんだ。君には必ずその場所がわかるはずだ。意識を失う前、女神カナンは言った。君に伝えてくれと。“魂の半分を誰にも奪われてはいけない。あなたの失った永遠の想いがそこにある。美月、月へ還りなさい”と」



――――月へ……還る………………!?