「…っハル!!」
アキトが追いかけてきた。
ハルの腕を掴む。
「…傷つけてごめん…。でも…、1回ちゃんと話そう…?」
ハルは無言で頷き、2人はアキトの部屋へ戻った。
沈黙が続いた。
が、アキトが話を切り出した。
「前も少しだけ話したことあったけど、ちゃんと話すな。」
「うん。」
「…ルナが出会ったのは、俺が高1の冬だった。ルナは高3だったけど、指定校推薦で大学は決定してたから、俺の家の近所のスーパーでバイトしてたんだ。俺は高1から京都で一人暮らしをしてたから、よくそのスーパーに買い物に行っててん。」
「それから、自然とお互いの顔を覚え始めて、親しくなったんだ。ルナに一人暮らしのことを話すと、スーパーで売れ残った野菜や惣菜を持ってきてくれるようになって、たまにご飯を作ってくれたりもした。それでだんだんお互いに惹かれあうようになっていった。」
「俺が高2になる頃、付き合い始めて、高2の夏からは同棲…まがいなことしてた。…ルナのことは本気やったし、結婚まで考えてた。……うまくいってると思ってた。…けど、そう思ってたのは、俺だけやった。」
「朝…起きると、ルナがいなくなってた。電話もメールも繋がらなくて、捜し回ったけど、どこにもおらんくて……。突然、姿を消してしまったんだ。悲しくて、悲しくて仕方なかった。母親も父親も亡くした俺にとって、ルナは心の支えだった。俺の全てだった。」
「…いっそのこと、死んでしまおうかと何度も考えた。ルナを失ったとき、俺に生きる理由はあるんかなって…。この悲しみを背負って生きるくらいなら、死んだほうがましやと思った。……でも……。」