アキト……。
私は"ルナ"じゃないよ……。
アキトの悲しそうな寝顔。
アキトは、元彼女が忘れられないんだ…。
アキトの目に、"ハル"は映ってるの?
もしかして…
私は"ルナ"の代わりなの…?
そう考えると涙が出てきた。
"ルナ"のことが忘れられないから、今まで私に手を出してこなかったん?
私はただの友達だったん?
寂しさを紛らすための道具だったん?
なんで"ハル"って言ってくれないん?
ハルの目から大粒の涙が溢れだした。
ハルはアキトに掴まれた腕を勢いよく離し、部屋から出ていった。
そして、リビングのソファーで一人泣いていた。
―コーヒーの匂いがする…。
ハルはいつの間にか寝ていたのだった。
「おはよう♪」
元気なアキトの声。
でも、私は元気じゃない。
「…昨日のこと覚えてる?」
ハルは冷たい口調で問いかけた。
「昨日…?あー…めっちゃ酔っていた気がする…。でも、あんま覚えてないわぁ…。俺、何かやった?」
「………『ルナ行かないで。』って言ってたで。」