「え…っと…、優しいし、面白いし、賢いし、かっこいいし…あと…「ありがとう。」」

「あ…じゃあ、アキトの方は??うちのどこを好きになってくれたん?」

「…どこにも行かないと思ったから…。」

アキトは眠くなったのか、テーブルに顔をつけた。

「どこにも行かないって…?」

「ハルはルナとは違う…。」

「ルナって?」

「前の彼女…。出てったんだよ…。」


アキトの元彼女の話はあまり聞いたことがなかった。
というより、この話題は避けてきていた。

「…ハルは…どこにも行かないよな…?」

「うん!!どこにも行かないよ?」

「…ふふっ…。良い子だ。」

アキトはハルの頭を撫でた。

そして、眠り始めた。

「アキト?ここで寝たら風邪引くって!おいっ!!」


仕方なく、アキトをベッドまで運んだ。




―そのとき



グイッ


アキトがハルの腕を掴んだ。








「……ルナ……。」







アキトの寂しそうな声。




そして―







「行かんとって…。」


アキトのまぶたから一滴の涙がこぼれ落ちた。