気がつけば、辺りは暗くなり、人の気配がなくなっていた。


生きた心地がしなかった。




もうすぐ5時…。



そのとき


優しい声が聞こえた。


「アキト…!!」


ハルが走ってきた。


俺の足は自然とハルの元へ駆け出していた。


俺の腕はハルを包み込んでいた。



「…会いたかった…。」



ずっと我慢してた言葉。


ついに口に出してしまった。


「…うちも会いたかったよ。」



アキトの体は小刻みに震えていた。



「…っ、何でメールしてこなかったん?何で電話してこなかったん?いつもしてくれてたのに…。」

アキトが耳元で言った。



「何でって…、アキト忙しそうやったし。じゃあアキトからしてくれば良かったのに!」

「俺はお前が問題教えてとか言って、頼ってくるのを待っててん!」

「あは!待ってたんや!!でも、うちはアキトに頼ってばっかはあかんと思って自分で解決しようと頑張ってんで!!」

「…少しぐらい頼れよ…。」

アキトの腕に力が入った。

「俺は…ハルに会えなくて寂しかってん!!ハルがいないと駄目なんだよ…。」



初めて聞くアキトの弱音。本音。




うちばっかりがアキトのこと好きだと思ってたけど


本当は違ったんだね


アキトも私を必要としてくれていたんだね


気がつかなくてごめんな



アキトは意地っ張りで

プライドも高いから

自分からメールしたり
電話したり

できないのをよく知ってるのは私のはずなのに


意地悪してごめんね



でも、


『会いたい』って

『寂しい』って


言ってもらいたかったんだ。