アキトは私の全てを見通していた。

私が言わなくても、アキトには私の気持ちや考えが読めるようだ。

「作れるよ!お弁当ぐらい!!…多分。」

「じゃあ、楽しみにしてるな。」

アキトはコーヒーを啜りながら微笑んだ。


―翌日。

アキトは学校の芝生の前でハルを待っていた。


待ち合わせの時間を20分も過ぎてる…。
あいつは遅刻なんか滅多にしないし…。
何かあったんかな?


そうこうしているうちに、ハルが走って来た。

「…はぁ。遅れて…ごめん…。」

「…何かあったん?」

「…あ、あのさ…、お弁当作るの忘れてた…。ほんまごめんなさい!!!」

「…じゃあ、その紙袋は何?」

「…え…?」

ハルは、黄色い紙袋がを持っていたが、それを後ろに隠して、
「あぁ、これは友達から借りてたノートが入ってるだけやで!!」

「ふーん…。お前には弁当箱がノートに見えるんだな。」

アキトにはバレバレだった。

「…あ…。実は…作ってきたんだけど、来る途中で落としちゃって…。だから、明日また作ってくるね!!!」

「紙袋の中に弁当入れてたんやから落としたとしても、形が崩れるだけで全然食べれるやろ。」

「いや…!!本当に形汚いから!!アキトにはちゃんとしたもの食べてもらいたいし!!」