パチパチ…。

線香花火が静かに火花をうっている。


「…6月のこと覚えてるか?」
アキトが口を開いた。

「覚えてるよ。」

「あの時はほんまにありがとうな。」

「いやいや、うち何もしてへんし…。」

「そんなことないで。あの日から夢にうなされることも無くなったしな。」

「それは良かった♪」

「俺さ…人前で泣いたの初めてかもしれへん。あの時の俺はハルやったら、涙見せて良いかもしれんって思ったのかもしれんな。」

「そうなんやぁ。」
ハルは頬を赤くした。そして、アキトの次の言葉に期待してしまった。

「これからも仲良くしよなぁ♪」

「うん…。」
ハルは少し落ち込んだ。
違う言葉を求めていたけど…人生そんなにうまくいかないか。
と割り切っていた。


ポトン…。


ハルの線香花火の火が消えた。
ハルの負けだ。

「よっしゃ!合宿終わったら、学校でジュース奢ってな♪」

「しゃあないな~。」

2人は笑っていた。
楽しい夜だった。