あたしは、小さく頷いた。




『そうなんだ』




『他から見ても分かるくらいさ、中島は里衣をまっすぐに想ってた。

たまには喧嘩もしてたけど、いつのまにか仲直りしててさ。

ちゃんと、繋がってるって感じが羨ましかったりした。


二人は、皆の憧れだったように思うよ』






そんなに、強い想いだったんだ。



強い想いだったからこそ、失ってみて心が喪失感を感じてるんだ。




あたしにとって、凌央はすごく大切だったんだ。




あたしは、そんなに大切な人を忘れて、傷つけてる。





このままでいいの?



曖昧に彼の気持ちを受け入れて、甘えたままでいいの?




このままでいても、思い出せない確率の方が高い気がする。




それなら、少し距離を置いた方がいい気がする。





『梨花子、あたし… 凌央と今は会わないでいた方がいい気がする。

凌央がここに来てくれるたびにあたしは凌央を傷つけてる。


だって… 何も分からないの。

凌央があたしとの想い出を話してくれても、困惑した顔しかできない。


だから、今は距離をおこうと思う』





梨花子はほんの少し、寂しそうな顔をした。





『里衣が決めたなら、何も言わないよ。

でも、あたしは信じたいな。

里衣と中島はどんなことがあっても、繋がってるって。


ホントは、里衣に教えてあげたいこといっぱいある。

けど、それは里衣が自分で見つけなきゃいけない答えだと思うから…。

だから、今は

自分を信じて動けばいい。

もし、間違ったらあたしがちゃんと連れ戻すから』






『梨花子…。 ありがと』