病院に入院してると、やっぱり退屈。
結構、大きな事故で足の骨が折れてる。
それ以外は、記憶を失っただけで軽い怪我ですんだ。
まだ、リハビリも途中だからあまり歩き回れない。
だから、誰かがお見舞いに来てくれると嬉しかった。
とくに、梨花子が来るだけで病室が明るくなったように楽しかった。
学校の話とか、友だちの話とか、先生の話をしてくれる。
梨花子の話を聞くと、早く学校に行きたくなる。
こないだ、珍しく梨花子が真面目な顔をした。
『里衣…、中島のことまだ思い出せないの??』
あぁ、そのことか。
あたしは、何も、と首をひねった。
『そっか…』
梨花子が寂しそうな顔をする。
あたしは、ずっと聞きたかったことを聞いた。
『梨花子、凌央ってどんな人?』
梨花子はうーんと考えてから、言った。
『一言で言うなら、まっすぐな人かな。
いつも、一生懸命で優しいって里衣は言ってた』