梨花子が自分のバックから、鏡を取り出して、あたしに向けた。
あたしの顔には、何筋もの涙が伝っていた。
『そんな顔して…、平気なんて言わないでよ…。
最近の里衣は、ぬけがらみたいだよ。
ずっと、泣きそうな顔してる。
もう、見てられない』
『なぁ、里衣。
もう無理すんなよ。
全部、凌央に言っちゃえよ。
好きだって、一緒にいたいんだって。
そしたら、凌央は絶対にお前を選ぶよ』
『凌央の…、今ある幸せを、あたしのワガママでは壊せない。
あたしは…、凌央を幸せにしてあげられる自信がない…。
だから…、いいの。
凌央が幸せだから、それでいい。
でも…、忘れられない。
あんなに簡単に記憶失って……
それなのに、凌央のこと…、今は忘れられない…』