そして、着信音の画面を開きメロディを鳴らした。





それは、パトカーのサイレンの音。



男たちは、血相を変えて逃げていった。



俺たちはその辺にチャリを停めて、一人の男にかけよった。





『大丈夫っすか?』




男は、ゆっくりと起き上がって




『大丈夫だ。サンキューな』




と頭を下げた。



男が頭を上げた時、俺はその顔を直視してしまった。





『桂木…篤人』




それは、一度だけ見かけた桂木篤人の顔だった。





『…ぇ、何で俺のコト知ってんの!?』




傷のある顔で、桂木篤人が目を丸くした。