この部屋に入るのは11年ぶりだった。
私がこの部屋を飛び出した時は、たしかかなり荒らしたあとだったはず。そして、11年も使ってないのに、部屋にほこり一つもない。きっと毎日、遠藤が掃除をしておいてくれてたんだ。


ふと机に目をやると
お母さんとの写真が飾ってあった。

(この写真立ても、遠藤直してくれたんだ。)

「あっ…」

そしてもう一つ
11年前にはなかった写真がそこにはあった。

高校の卒業式の写真。




あの時、
今の生活を捨てて、
本当の意味でこの家を出ていたら、

いまも私は

あなたの隣で

笑っていられたのかな…