それからも
あたしと日向は相変わらずで、
学校では部活以外
ほとんど話さなかった。
「加奈先輩ー…?」
「え?」
「ジャグ、溢れてますよ…?」
容器がいっぱいになっても
蛇口からは水が
出続けていた。
「あっ、本当っ!やばっ」
「…陵先輩と、何かあったんですか?」
そう言った瞬間、
加奈先輩はびっくりした顔を
してたけど、
すぐに悲しそうな顔で
頼りなさそうに力なく笑った。
「……わかる?」
あたしは黙って頷いた。
陵先輩を見る目が
すごくすごく、悲しかったから。
陵先輩も、加奈先輩の後ろ姿を
見つめていたから。
「優梨ちゃんって案外、見てるよね…」
それは果たして…どうなんだろう。
先輩たちはわかりやすい。
「自分の気持ちに、……嘘は…つかないでくださいね…?」
加奈先輩は我慢してる。
好きな人が出来ても
陵先輩といた時間が長すぎて
離れられなくて、
その人を本当に好きかも
わからなくて…
いや、もう恋心は
しっかりしてるのかもしれないけど。
でも
なぜかあたしは
複雑な気持ちを感じたんだ…。