反論する気もないし
帰ろっかな…
教室に戻ると
由衣が心配そうな顔で
あたしを見ていた。
心配かけてごめんね…
あたしは由衣以外の子は
見ないようにして
教室を後にした。
「ナイフだってぇ~こわ~!」
そんな声が聞こえる。
甦る中学の記憶。
いつも由衣がそばにいてくれた。
…いつも、
陽希が守ってくれた。
今、守ってくれる人はいなくて…
「…はる、き…」
小さな声で名前をつぶやくだけで
愛しさがこみあげる。
「う…」
さっきまで我慢出来たはずの涙が止まらない。
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