街中で通り過ぎれば
振り向かない子はいないと
あたしは悟った。
『ねえ、聞いてる?』
あたしが見つめる先で、
手をあたしの顔の前で
左右させて確認している行動に
ハッと意識が戻される。
「えっ?!」
男の人は手を振るのを止めて
聞き直した。
『だから、君はレイカちゃんですか?』
「あっ、はい!!」
ベンチに寝転んでいたのを
飛び起きるように体を起こして
かなりデカい声で返事をした。
『ハハッ、そっかー』
男の人は笑顔でそう言って、
頭の後ろに手を組み去っていった。
「……なに、あの人…」
あたしはサッパリ
意味が分からなかった。