静かな図書館を出て、公園のベンチへ場所を移した。

秋風が緑の匂いを運んでいる。

「風が気持ち良いね」

「そんな事言ってる場合じゃないだろ」

そうだった。

「じゃあ、テスト範囲だけを集中してやるから。ここからな」

教科書とノートを広げて一つずつ丁寧に説明を始めた。

時には地面に図を書いたり、公式をゴロ合わせで覚える方法を教えてくれたり、暗くなるまで続いた。

真っ白だった私の教科書とノートは赤ペンやマーカーで一杯になった。

こんなに勉強したの初めてだ。

「ここと、ここ、明日までに暗記しといて」

えー、宿題まであるの?

「はい」

文句なんてとても言える状況じゃない。