夏休みに入る数日前の休み時間、クラスのみんながいるところを見計らったように、高野さんがアンに向かって言った。

「白井さん、夏休みも忙しいんでしょ?」

また何を言うつもりなんだろう。

「男との予定でいっぱいって聞いたけど?」

誰にだよ?

「病気には気をつけてねー。もう免疫出来てるから大丈夫か」

悪意たっぷりの顔で笑った。

みんながひそひそ話す声が聞こえ始めた。

もう、イヤ。

半笑いのゆがんだ顔で、目だけは鋭くアンを捕らえていつまでも続く。

ここ1か月ずっとそんな状態を我慢してきた。

やっと少し収まってきたのにまた繰り返されるのか?

もう、無理。