父さんはそう言ってリビングから出て行った


いらない子じゃない…?


本当に…?


俺は生まれてきてよかったの?



「嵐は生まれてきてよかったんだよ」


「……柚李」


ホントに柚李なのか?


初めて“嵐”って呼ばれた。


「なんだか、素の私はこうなんだと思う。

パパの前では子供じゃなきゃだけどね…

嵐の前だしいっかなって思ってさ、

変?」



「変じゃないよ!!!


だって、俺だってもともとは…」


「うん、知ってる


だってさたまに嵐、顔引きつってるもの


あぁ…無理に笑ってんなって


多分パパも気づいてんじゃない?」


「……バレてたんだ」


「ははっ、双子だもん。分かるよ」


「そうだね」


「嵐、明日からバーバ達んとこ行くんでしょ?


寂しいなぁ……」


「なんで知ってるの?」


「聞こえちゃったから」


「そっか…


でも、またどっかで会えるよ」


「そうだね!!


じゃ、最後かもしれないから一緒に寝よ!!」


「うん!!」


この夜嵐と柚李は手を繋いで一緒に寝た