『それでいいんですか?』
「あぁ。前に食べたとき、結構美味かったからな」
『そうですか。じゃ、残りは持って帰りますね』

さっさと残り4個のチロルをまとめてポケットに仕舞った。

…家に帰って食べよっと。

「オイ。」
『…なんでしょうか』
「手ぇ出せ」
『はぁ?なんで』
「いいから」

なんだ、嫌な予感しかしないんだけど。

渋々手を出すと、ポトリと何かが置かれた。

え、これって…

『チロルの紙ゴミじゃないですか!!』
「捨てといて」
『自分のゴミでしょっ!?』
「買ったのは君だろ」
『買わせたのはどこの誰ですか。私は捨てません』

どうして私がそこまでしなくちゃいけないんだ。
私はこの人の母親かっての!

私は手渡されたゴミを相手のポケットに突っ込んだ。

『自分のゴミは持って帰りましょうね』
「お前、何年だ」
『一年生です』
「じゃ、俺先輩だわ。はい、先輩命令。捨ててこい」
『嫌です。先輩は自分の事すら出来ないんですか』

あぁもう、しつこいな!
ゴミくらい自分で捨てて下さいよっ
…というか、先輩だったんだ。

「強情なやつ。」
『先輩こそ。』
「…。もう一個チロルくれたら、ゴミ持って帰ってやる」
『なんでそうなるんですか、嫌ですよ。残りは私が食べるんですから』
「じゃ、俺と延々と言い合いたいんだな」

あ、それは面倒。
なんか、いかにも勝ったっていう顔してるんだが…。
あぁもう!仕方がないっ

『選んでくださいっ!!』
「賢明な判断だな」

私はこの人にどこまで舐められてるんだろ…。