結局、私は帰りにチロルを買い、次の日の昼休みに再び屋上へと向かった。

『はぁぁ…。なんでこんな事になったんだろ』

あの時ちゃんと、鍵を掛けていれば21円も払わずにすんだのに!

正体がバレたことよりも、21円払わされたことに腹を立てる自分。

その時、ギギィと扉の開く音がした。

「ほぅ…ちゃんと来たんだな。」
『持ってこいって言ったのは貴方でしょう?』
「ま、そうだな」

その場に座り込んだこの人。
私に持って来させる気か、なんつー人だ。
自分から取りに来なさいよね!

仕方なく、あの人の目の前に行き、5種類のチロルを置いた。

「…。全部貰っていいの?」
『ダメです。一つだけに決まってるでしょ』
「フーン、残念。まぁわざわざ5個も買ってきて、選んでもいいなんて…。あんた、変わってるな」
『…チロルにも色々種類があるじゃないですか。たまにあまり美味しくないのとかあって、それは人それぞれ違うし…。奢られるんだったら、やっぱり好きなのがいいでしょう?』

そこまで言うと、キョトンとした顔をされた。

え、私変なこと言ったかな。

「…ぷっ、あははっ。お前、意外と考えてるんだな!てか考え方もウケる」
『な…っだからって笑わないで下さいよ!』

全く、失礼な人だな!

「はは、すまん。じゃあ、これ貰うわ。」

そう言って、手に取ったのはきな粉餅味のチロルだった。