私には妹がいる。
名前は、ひな。


毎年春に
一度だけ会うことができる。

桜が
ひらひらと、
舞い散る中・・・・。

ひなは私に
会いに来た。

「姉上。」
そのにっこりとした
笑顔はとても愛くるしかった。

父と母は
あまり、嬉しそうではなかった。

とても冷たい目で
私を見る。

もともと、
私は
父と母と暮らさずに
お城で一人・・・・。
お付きの者と
ずっと監視されながら
生きてきた。

ご飯は
あたたかいものではなく
冷えきったものしか
食べたことがなかった。

そんな気持ちがひなに
分かるのだろうか。
私はひなに嫉妬していたのだろう。

私は言った。
「ひなは幸せだね・・・。」

そんなことを
ぼそっと
つぶやいた。

そのとき、もう
家族の縁は切れてしまっていた。

父は
私に近づくと、
大きな手を私に向けて
私の頬を
叩いた。
父の顔を見ると、

涙を流していた。
「お前に何が分かるんだ。
 この子とお前が区別されてきて
 どんなに苦しんだかっ!
 お前に分かるものかっ!」

父はそう言って
ひなの手を取り、
母と共に私の前から
いなくなっていた。