ドクンッ


心臓が高鳴った。





…けど、私は、視線をそらしながらも、曖昧に首を横に振った。



『…ほんとに?』


心配そうな表情の五十嵐くんは、何度も私にそう聞いてきた。


私は、何度も頷いた。



…確かにあの時は、会いたくもなかったし、正直…嫌で嫌でしかたなかった…。それは、私がまだあの時のことを引きずっていたから…。五十嵐くんのことを忘れられなかったからなんだ。



それに、これからは、クラスメートになる五十嵐くんを避け続けるなんてできるわけがない。



それなら、今までのことは、なかったことにして、今度は、友達として仲良くしていきたい。



再び五十嵐くんに会ってようやく、そう思えるようになったんだ。


きっと…今までの私は…吹っ切れたように見せていたけど…心の中では、うやむやなままモヤモヤしていたんだろう。



今、スッキリした私は、五十嵐くんに小学生の頃と同じような笑顔を向けた。