「照れちゃって可愛いなあ、玲子!」


郷はとても嬉しそうに笑い、玲子を抱きしめる。


「照れてなんかないわよ。」


玲子も郷の素直な反応に少しだけ顔が緩んだ。


郷は入学当初から玲子を想い、今もこうして玲子のそばにいてくれる。


でも彼氏という一線を越えた存在になってほしくないと考えてしまう。


絆が深く関係が深くなるようなものはいつか壊れた時のダメージが大きい。


だったら、傷が浅くなるようなダメージの少ない関係のままのほうがマシなのだ。



「なあ、玲子?」


「ん?」



「隙間アリ。」


郷はそういうと玲子にキスを落とす。


「郷。あんた…。」


玲子は不服そうに郷を見る。


「いいじゃん?今日も俺ん家来いよ?」



「…いいよ。」


昼休みを終え、午後の授業は眠かった。

放課後になり、郷はあたしの手をつなぎ教室から出ようとした。


そうすると、やっぱり今日もまた憂鬱の原因が再び現れる。


「玲子ちゃん!」