「俺と付き合ってくんない?」

田原翔平。中学2年のクラス替えをきっかけに

仲良くなった人。バスケ部の部長。

学年でトップを争うくらいのもて男。

元カノがたくさんのちゃら男って噂があって、

あんまり良いイメージはなかった。

「へ!?//今なんて?」

そう、これがわたし、桑原真由。

わたしは自分で自覚するほどの恋愛運なしの女。

何度か恋愛はしたけど、どれも浅い恋愛。

ついでに鈍くてよく人に騙される。

ルックスも中の中ってとこだし、

長所は明るいところくらいの普通の中学生。

この時わたしは知らなかったんだ、

恋がこんなに辛くて儚いものなんだって...

***

翔平と付き合って一週間がたった。

この日は初デートの日だった。

「おう真由っ♪私服似合ってるじゃん♥かわいいよ」

「//てきとーだったけどね♪」

ううん違う。本当は翔平に可愛く思われたくて

頑張って服選んだんだ。

駅前について、わたしたちは映画を見に行った。

「真由、手つなぐべ♪」

「え//うん..//」

暗くなったときにきゅってつながれた手が

暖かくて大きくて、愛おしく感じたんだ。

あのときわたしは、何もかもが新鮮でドキドキで、

初めてを全部うばってくのが翔平だった。


映画が終わって翔平を見たわたし。

「ぶはっ(笑)翔平泣いてるじゃん(笑)」

「あれは泣くだろ!!てか真由、笑うなバーカ」

「だってイメージと違うから(笑)ごめんねっ♪」

「俺どんなイメージだよっ、ばか(笑)」

そういって翔平はわたしの髪を

くしゃくしゃとなでた。

心が爆発しそうなくらいドキドキして、

これが初恋なんだって漠然と思った。