無論、これは世間一般から見たらの話で、この時期を疾走している当事者にすれば、自分たちが今一番輝いているだなんて気付きもしていない人間の方が多い。
かく言う俺もそんな無自覚な方の人間であり、とてもじゃないけど自分が今キラキラ光ってるだなんて思えない。
生まれついてのオレンジがかったこの茶色い髪のことを言われるならまだしも、俺のどこに、光るものがあるというんだろうか。
友人の千良(せんら)が言った話では、どうやら俺は女子生徒に人気があるらしく、告白もよくされるので(よく、と言われても月に2、3人で、それが多いのか少ないのか、俺にはわからない)そういう面では煌びやかな青春を送っているらしいのだ。
しかしそう言われても、やっぱりピンとは来ない。
それは俺が無自覚であるということ以上に、こんな風に月に2回ほど女の子を泣かせたり、そのことで友人からからかわれたりする日々に、少し疲れていることが原因だ。
そしてまたその原因以上に、俺の心をそんな煌びやかな日々から遠ざけているものが一つある。
「あ」
思わず声を漏らした。