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「ごめん」
その瞬間は毎度毎度、自分の声がやけに透き通って聞こえる。
悪意なんてものは微塵もないのに、俺の言葉はどんな鋭利な刃物よりも鋭く、深く、痛く、相手の胸へ突き刺さる。
それでも、変にねじ曲がったドリルのような曖昧な台詞で、ぐりぐりとかき回すよりはましだと思う。
「……俺、吉澤とは付き合えない」
留めは早めに。
それが俺なりの罪滅ぼしだった。
自分を想い続けてくれた人の気持ちを打ち砕く、それが罪でないのなら、この置き場に困る想いは、どうやって消費すればよいのだろう。
そんな俺の不安など知るよしもなく、目の前にいる少女は泣く。
もし俺の胸中を知ってくれていたら、彼女は俺の前では涙をこらえてくれただろう。
だってこういった時の女性の涙は、さらに俺の罪悪感を増幅させるだけなのだから。
……それなら、なおさら泣くだろうか。
高校生という一番輝かしい人種になって既に一年が経ち、高校生という一番輝かしい人種として、めいいっぱい楽しめる学年になった。