何度も言うようだけど、俺は健康的にギラギラしたギャルよりも、地味で大人しい少女の方が好みだった。
もしもこの時、俺にそんな地味で大人しい彼女ができていたら、この橋田さんに、どんな目にあわされていたかわからない。
俺ではなく、地味で大人しい彼女が。
どっちにしたって俺の中学時代は半分、くすんでいたのだ。
だがまもなく、俺は一瞬だけ煌びやかな光を手にすることとなる。
放課後のチャイムが校内に鳴り響く頃、学年会議に集められた各学年の委員長、副委員長達は、ぐだぐだと自分たちの机を、巨大な一つの円に並べ始めた。
そして、学年主任の教師が入って来ると、僅かに開いた机と机の合間をぬって、生徒が作る円の中央へと立った。
円に混じった俺の右隣は橋田さんで、左隣は……その時は全く視界にも入っていなかった。
教師が手に持っていたファイルから、何枚か用紙を取り出し、近くの生徒に手渡した。
それから右隣へと回されていくその用紙。
会議用の資料だということは、すぐに理解できたが、俺はずっとその用紙が流れてくる様を見ていた。