「もしかして、意識しちゃってる?」

帰り途中に突然言われた。

「えっ!?あっ…」

声が裏返った。

「図星みたいだね(笑)」

からかうように笑う。

「そっそりゃあ意識くらいする…もん。雨の日に、しかも相合傘で誰かと帰ったことなんてないもん」

ちょっと頬を膨らませながら言う。
なんて子供みたいなことを…

「…」

何も返してこない晴太くん。
気になって晴太くんの方を見ると、少し頬あたりが赤らんでいた。

「せっ晴太くん!?えっ?なに?あたしなんか変な事言った!?」

晴太くんが絶句してるところなんて見たことなかったから、変な事を言ってしまったんじゃないかと不安になる。
焦ってわたわたし始めたあたしは不審者みたい。

「えっとその…あの「雫ちゃん!!Σぎゅっ

「にゃっ!?」

突然の抱擁におかしな声が出た。

「…雫ちゃんかわいすぎだからっっっ」

「えっ?せっ晴太くん?」

あたしは意味が分からずはてなマークが浮かんでいた。

「今のは反則だよ…」

そう言って離してくれない。

「…濡れちゃうよ?」

「いいの。今はこうしていたい」

「…でも風邪ひいちゃうよ?」

「そしたら雫ちゃんに看病してもらうからいい」

「えっ…」

「…ダメなの?」

うるっとした瞳で問いかける。

「ダメじゃない…けど、みんなに心配かけちゃうよ?」

晴太くんはあたしと違って人気者だから…

「心配させときゃいいよ」

…もう何を言っても無駄そうだ。