下駄箱前


「もう誰もいないんだな」

「えっ?」

「だって靴ないし」

「…ほんとだ」

下駄箱には上履きしか入っていなかった。2年生はあたしたちしかいないようだ。

ローファーを履いて外へ出る。
相変わらずの雨模様…

やっぱり止まなかったか…
さっき泣いちゃったし。

「雨、まだ降ってたんだ」

「えっ!?あっうん…」

自分が雨女だということを思い出す。
そんな簡単になくなるもんじゃないもんね…

「雫ちゃん、傘持ってる?」

「…持ってる」

いつ雨が降ってもいいように常備してるからね。

「よかったー。もし持ってなかったら、どうしようかと思った…」

笑いながら空を見上げてそう言った。
あたしはその反対で、すごく泣きそうな顔をしていた。

せっかく…思いが通じたのに…雨降らせちゃうなんて…

そんなことを思いながら傘を差した。

「傘持つよ」

ひょいっと傘を持たれた。

「えっ?あっ…」

「…入んないの?」

「入…ります…」

…相合傘、だよね?
初めてした。

なんか、こう…ドキドキする。
雨の日に誰かと帰ることなんてなかったから…

変に意識しちゃって顔を見ることができない。
相合傘してるだけなのに…///