「ったく、油断も隙もないな。大丈夫か?」

「大丈夫…」

恥ずかしい。
恥ずかし過ぎて、顔を隠した。

「何顔隠してんだよ」

「いっいいの。気にしないでください」

だって、顔に書いてあるんでしょ?
バレバレなんでしょ?

『あんた、顔に出過ぎなの。バレバレだから』

『好きって顔に書いてあんだよ。周りはみんな知ってるよ。星野くん自身もね』

さっき言われた言葉がこだまする。
晴太くんにバレてる。
あたしが晴太くんを好きってことを。
それを必死に隠してたことを…

「雫ちゃん?顔になんかされたの?」

「…違う。きっきにしないで」

これ以上バレたくない‼
好きってことを知られたくない‼

Σぎゅぅ…

えっ!?
いま、抱きしめられてる!?
確認したくても自分の手でなにも見えない。

「…怖かったか?」

優しい声で囁く。

「もう大丈夫だからな」

そういいながら、頭を撫でてくれた。

…なんで…なんでそんなに優しくするの?
あたしが晴太くんを好きってこと知ってて…それで…なのに…

あれ?…なんで?涙が溢れて来る…
なんであたし泣いてるの?

「…ひっく…ひく…」

泣き止もうとしてもとまらない。
声を押し殺しきれなくて嗚咽が…

「…雫ちゃん!?」

晴太くんの驚いた声がした。