…しばらく抱きしめられていた。
恥ずかし過ぎて、でも嬉しくて…
だから何も抵抗せずに抱きしめられていた。


「…あっごめん」

慌てて離れる晴太くん。

「あっあたしこそ、ごめん…なさい…。無理に引っ張り出したりしちゃったから…本当にごめんなさい」

素直に謝った。
もし晴太くんが助けてくれてなかったら、下敷きになって大怪我してたかもしれない。
想像しただけでも怖い。

「珍しいこともあるもんだね。雫ちゃんが素直に謝るなんて」

「めっ珍しくて悪かったわね。あたしだって素直に謝れるから」

やっぱり素直になれない。

「まぁ怪我がなくてよかったよ。…じゃあやるか!」

「あっうん」

「あっ雫ちゃんは休憩ね。ゆっくりしてて」

「えっでも…」

「大丈夫、あとでこき使ってあげるから」

「え…」

「…冗談。でも、休憩して?女の子に力仕事させたくないし」

「わかった…」

じょっ冗談か。ちょっと本気にしてしまった。