ある時…


「今日、放課後予定ない人いるかしら?」

先生が言った。
みんなは口々に話している。

「あっ肝心な所が抜けてたわね。学校の事務員さんからのお願いで、ある空き教室の掃除を手伝ってほしいんだって。ウチのクラスが代表として行くことになって…誰かやってくれる人はいないかしら?」

掃除…手伝い…
嫌じゃないけど、面倒なことには巻き込まれたくない。
ここは大人しく誰かが立候補するのを待とう。

目立たないように、ジッとしていた。

「みんな忙しいのかしら?…まぁ無理にとは言わないけどね」

先生が困り顔で言う。
ざわついていた教室が沈黙に変わった。

「…先生。俺がやりますよ」

沈黙を破り、立候補したのは…






晴太くんだった。

「あと、雫ちゃんもやってくれるそうです」

えっ!?

「えぇ!?」

思わず大声になってしまった。

「南雲さん、やってくれるの?」

期待の目で見つめる先生。
もう断れないじゃない…

「…やっやります」

渋々やることになってしまった。
なんて意地のない…

これ以上は誰も立候補しなかったので、あたしと晴太くんの二人に決まった。

ドクン…ドクン…

晴太くんと二人…
かーーっと赤くなっていく。

ずっと避けてきたのに…
無駄に心臓がドキドキする。
なんか吐き気が…
緊張してきた。
帰りたい…帰りたいよ…

そんな風に思ってるくせに、あたしは…あたしは…
嬉しいと思ってしまっているんだ。